水よう液の性質

水よう液を区別する方法を考えよう
学年:小学6年生
教科:理科
Benesse Corporation
Teacher Profile
Benesse Corporation
2018/07/08

学習の目標

学習活動

観察、実験を通して、水溶液の性質や働きを理解する。

目標

水に溶けている物に着目して、多面的な活動を通して、水溶液の性質やはたらきの違いを理解する。
観察、実験などの技能を身につけるとともに、より妥当な考えをつくりだす力や主体的に問題解決しようとする態度を育成する。

必要な条件を書き出し、それらを組み合わせて、水溶液を区別することができる。

主な評価規準

<知識・技能>

次のことを理解し、観察や実験などに関する技能を身に付ける。
・水溶液には、酸性、アルカリ性、中性のものがあることを理解する。
・水溶液には、気体が解けているものがあることを理解する。
・水溶液には、金属を変化させるものがあることを理解する。

水溶液の性質や試薬の種類などの知識を使って、水溶液を区別するための条件を作成できる

<思考力・判断力・表現力>

水溶液の性質や働きについて追究する中で、溶けているものによる性質や働きの違いについて、より妥当な考えをつくりだし、表現できる。

区別しようとしている水溶液について、どの見方で条件制御すれば区別できるのか、論理的に考えられる。

<学びに向かう力>

見た目が同じでも、水に溶けているものによって、水溶液の性質や働きが違うことを主体的に調べようとする。

水溶液を区別するための条件の組合せは一通りでないことを知り、多様な条件の組合せで水溶液を特定する方法を考えようとする。

指導に当たって

(1) 児童観

児童の身の回りには、いろいろな水溶液があり、それらを飲んだり、使ったりしている。甘ければ砂糖水、しょっぱければ食塩水などと味で区別したことがあるだろう。また、酸性雨やアルカリイオン水、中性洗剤などの日常生活で聞く単語から、酸性、アルカリ性、中性、という用語にはなじみがあると思われる。しかし、実際にどのような水溶液がそれらの性質をもつのか、どのように調べればいいのか、実際に経験している者は少ないだろう。

(2) 教材観

本単元では、いろいろな水溶液にとけている物を見出したり、性質や金属を変化させる様子を調べて、水溶液の性質や働きについて考えることがねらいである。本物の水溶液について、見た目や実験で学んだ後、最後の総まとめで、プログラミングによる条件制御の考えを適用して、既習の水溶液を区別する条件を組み立てる活動を取り入れる。においだけで判別できる水溶液は何か、リトマス紙の変化によって区別できる水溶液は何かなど、条件によって水溶液を分類する活動を通じて、水溶液の性質や働きについて理解を深めることをねらいとしている。「もしAならばB、さもなければC」という実験計画のときにも用いた思考方法を、プログラミングすることで、実験内容の振り返りもできるだろう。
また、この条件制御で対象物を分類するという思考は、数や図形の分類、漢字の分類、花や昆虫の分類など、他教科にも共通している。教科を横断して、同じ思考をしていることを意識させることで、内容によらない、思考の仕方の資質・能力を育成することができるだろう。

(3) 指導観

プログラミングの時には、予め、テンプレートが用意されており、実験室の場面になっている。問題ごとに、2~3個のビーカーが並び、それらを区別するにはどうすればいいのか、いわば、水溶液判定師になることで、水溶液判別への意欲を高めることをねらっている。チーム活動で条件の組合せを考えてもいいだろう。

自主的・主体的な学び

実験では、危険な薬品への配慮や、不慮の事故には気を付ける必要がある。総まとめのプログラミングでは、その点、危険性がないので、条件をどのように組み合わせればいいのか、考えることに集中できるのが利点である。実験では参加しにくかった児童も、パソコン上で、試行錯誤し、うまくいかないときにはその理由を考えて、条件の組合せを変えるなど、主体的に水溶液判定師の活動に取り組むことで、自ら学びを追求できる。実験では扱えなかった水溶液についても、理解を深めることができるであろう。

問題解決的な学び

水溶液は、見かけは同じでも、溶けているものによって性質が違う。何をすれば、どのような反応するのか、学んだ知識を活用しながら、与えられた課題を解決する最適な方法を考えることが、問題解決的な学びにつながる。例えば、AとBの水溶液を区別する方法は1通りではない場合が多く、複数の方法を考えようとする習慣をつけることで、未知の水溶液を区別しなければならないときにも、その習慣が生きてくるだろう。友達と意見交換しながら活動することで、多様な考えに気づくことができる。

協働的な学び

総まとめのプログラミングでは、パソコン画面上に、さまざまな既習の水溶液が登場する。イラストや名称だけではイメージできない児童もいるかもしれない。そのときには、チーム活動で、実験の時のことを思い出すといいだろう。また、実験で扱わなかった水溶液がある場合には、チームで手分けして、教科書やネットでその水溶液について調べて、調べたことを伝え合うことで、学んだことを、他者にわかりやすく説明する力もつくし、自身の理解の確認にもなるだろう。

学習指導計画