平面上や空間内の点の位置の表し方(Scratch)  第3次  (8/8)

平面上や空間内の点の位置の表し方

空間内の点の位置の表し方を理解することができる。

たて、よこ、高さという要素と移動距離を組み合せて、ネコが目的の場所まで移動できるような手順を考えられる。

評価基準 学習活動と内容
十分 平面のときは(横、たて)の2要素、空間のときは、それらに高さが加わり、(横、たて、高さ)の3要素になった、という次元の広がりを理解できている。
空間の表し方でも、高さの数値を0にすることで、平面の移動もできることに気づいている。
概ね 移動手順は、横、たて、高さと、移動距離の組合せで作ることができることを理解している
要努力 移動手順は、横、たて、高さを組み合わせればいいことを理解できていない
課題設定 5分
本時の学習活動を理解する。
【課題】Scratchでネコに風船をとらせよう。
評価 / 指導・支援
  • 本時の学習活動を理解しようとしている。
  • 児童に【課題】を解決させることを通して、空間内の点の位置の表し方を理解させる。
板書内容
児童
思考 10分
平面上の位置の表し方を考える。
(1) 何を示せば位置を表現できるか?
(2) 横、たてで平面の位置をどう表せばいいか?
評価 / 指導・支援
  • 平面上の点の表し方をたてと横の位置で表現できる。
  • 横、たての位置の組み合わせで、平面上の位置が表せることを知る。
板書内容
児童
活用 20分
ペアで空間内の位置の表し方を考える
(1) 現実の空間で位置を表したいときはあるか?
(2) ネコが風船をとる場面を設定し、ネコにどういう指示を出せばいいかを考える。 (3) コンピュータがわかる言葉でプログラミングして、空間内の位置の表し方を試行する。
評価 / 指導・支援
  • 空間上の位置を、横、たて、高さで表現し、手順を説明することができる。
  • 手順が違っても、同じ位置を説明できることが理解できる論理的に考えたか。
  • 同じ位置を表すには、(横、たて、高さ)の順番も6通り、進む長さの示し方も様々あることに気づかせる
  • コンピュータ上で空間の位置の表し方をいろいろ試行する
板書内容
児童
まとめ 10分
平面内と空間の位置の表し方のまとめ。
評価 / 指導・支援
  • 平面上なら(横、たて)、空間内なら(横、たて、高さ)で位置を表せることを理解したか。
  • (横、たて)、(横、たて、高さ)で表すよさを理解させる。
板書内容
児童

課題設定(5分)

数直線上での位置の表し方を既習として、平面上や空間内の位置を示すにはどういう要素を足せばいいか?という問いかけをする。

思考(10分)

プリントで、直線上の位置を表し、既習事項を確認する。直線上の位置を示すには「横」だけ示せばよかったが、平面上の位置を示すには、「たて」という要素を加えることで、位置を示せることに気づかせる。あと何の要素を追加すればいいのか、既習事項と関連させるjことで知識を統合させていく。

活用(20分)

空間内の位置を示すときには、「横」「たて」「高さ」の3つの組で示せるだろう、という予想を立てたら、付箋に、進む長さをいろいろ書いて、AからCに行く方法をノートに貼る。例えば、下のように4枚の付箋を使う児童もいるだろう。

小学校段階におけるプログラミング教育の在り方についてについて文科省が提言するプログラミング的思考「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」が、この風船をとる経路を考察する活動を通じて育成される。組合せは多様だが、同じ方向への進め方は簡単にした方がわかりやすいことに気づかせる。上の例なら「横(2)と2回動かす」場合と、「横(4)と1回動かす」場合を比べて、「どっちの方がわかりやすいかな?」という問いかけをして整理させる。

付箋で組合せを示すだけでも、試行を通して考えることはできるが、ここではより理解を深めるためにScratchを導入する。頭ではわかっているのに、書くのが苦手で付箋への記入が遅い児童も、Scratchなら考えていることを簡単な操作で表現できるというメリットがある。

児童は、右画面にある、横、たて、高さ、のブロックに、進む長さを数字で入力するだけで、考えている一連の活動の組合せの順番を変えたり、数値を変える試行が簡単にでき、さらに、それが正しいかどうか動画で確かめることができる。発展させて、「高さを0にしたらどうなるだろう」という問いかけによって、空間内の位置を示すことができることも学べる。

まとめ(10分)

まとめでは、同じ場所に行く経路は多様だが、動く回数が一番少ないのが最適であることを理解させる。例えば、C(4,1,3)に行くには、「たて(1)、横(2)、高さ(3)、横(2)と4回動かす」よりも、「横(4)、たて(1)、高さ(3)と3回動かす」ように同じ方向の数字はまとめた方がよい。横、たて、高さの順番についても、中学数学の座標(x、y、z)への素地とするなら、(横、たて、高さ)と順番をそろえた方が伝えるのに間違いが少ないということに触れてもよいだろう。

評価のポイント

次期学習指導要領は、従来の知識ベースではなく、資質・能力ベースの改訂になっている。問題を算数の言葉に翻訳する思考過程を積極的に評価したい。最初から、空間の位置は横、たて、高さの3要素で示せる、という結論を知識として与えるのではなく、AからCへ斜めに進むときには、どのような要素に分解すればいいのか、それらをどのような記号の組合せにすればいいのか、という思考過程を大切にすべきである。そのアイデアが、次元にかかわらず共通であることを統合的に理解できているかどうかが評価のポイントとなる。その思考過程はプログラミング操作で視覚化される。

評価方法は振り返りシートやScratchの作品をクラスで共有することで、前回の自分の気づきと今回の気づきの変容をみたり、他者のやり方からの学びを促進を見たりする。

※掲載している画面のイメージや動作の説明はScratch2.0をもとにしています。
そのため、他のバージョンのScratchをご利用の場合は、画面や動作が異なる場合がございます。