かけ算の文章問題名人をめざして

単位のいくつ分を理解する
学年:小学2年生
教科:算数
Benesse Corporation
Teacher Profile
Benesse Corporation
明星学苑 明星小学校
2019/12/17

学習の目標

学習活動

文章問題に出てくるアイテムやそれに合わせた単位、かけられる数・かける数をプログラミングして、自分だけの文章問題を作り、その問題を自分で解いたり、友達に解いてもらったりする活動。かけられる数(単位)とかける数(いくつ分)を正しく理解し、かけ算の立式が正しくできるようになることを目的としている。単位のいくつ分というかけ算の意味を正しく理解することは、上学年での単位当たりの量を考えるときの素地になると考えている。

※掲載している画面のイメージや動作の説明はScratch2.0をもとにしています。
そのため、他のバージョンのScratchをご利用の場合は、画面や動作が異なる場合がございます。

目標

○基準量のいくつ分かにあたる量を求めることを通して、乗法の用いられる場合について理解する。また、数の乗法的な構成について理解し、問題場面を乗法を活用して解決できる。
○乗法の場面を式に表したり、式をよんだりすることができる。
○乗法に関して成り立つきまりを用いて、九九を構成する。
○九九の唱え方について知り、1位数×1位数の計算が確実にできる。

□文章題を「解く」活動では、文章題のかける数とかけられる数を自分で指定し、正しく立式することを理解する。 文章題を「つくる」活動では、かけられる数とかける数を意識して文章題を自ら作り出し、友達に解いてもらい、正しく説明ができる。

主な評価規準

<知識・技能>

・乗法の意味について理解し、それが用いられる場合について知ることができる。
・乗法が用いられる場面を式に表したり、式を読み取ったりすることができる。
・乗法に関して成り立つ簡単な性質について理解することができる。
・乗法九九について知り、1位数と1位数の乗法の計算が確実にできる。
・簡単な場合について、2位数と1位数との乗法の計算の仕方を知ることができる。

□プログラミングを通して、乗法はかけられる数をかける数分だけ繰り返し足していることを理解する。

<思考力・判断力・表現力>

・数量の関係に着目し、計算の意味や計算の仕方を考えたり計算に関して成り立つ性質を見出したりするとともに、その性質を活用して、計算を工夫したり計算の確かめをしたりすることができる。
・数量の関係に着目し、計算を日常生活に生かすこと。
・乗数と積の関係、交換法則などをもとに九九の構成の仕方を考えている。

□乗法の文章問題をプログラミングする活動を通して、文章問題の構成を理解し、正しく単位を扱うことができる。

<学びに向かう力>

・乗法のよさに気づき、乗法を用いようとしている。また、進んで九九を構成しようとしている。
・乗法について成り立つ性質やきまりを見つけ、進んで九九を構成しようとしている。

□乗法の文章問題をプログラミングしていいく活動を通して、文章の構成や乗数・被乗数の関係に興味を持ち、進んで問題作りに取り組んでいる。

指導に当たって

(1) 児童観

 かけ算の文章問題で、かけられる数とかける数を正しく読解して、「単位量×いくつ分」という意味のある式が立てられない児童が多い。かけ算の計算は交換法則が成り立つので、かけられる数とかける数の順序は問題にならないが、文章問題の立式では順序が意味を持つものとなることへの理解が深まらない。
 児童の多くはかけ算九九の暗唱について、時間をかけて反復練習を繰り返し、確実に身につけていこうと意欲的に学んでいるが、その知識を文章問題に応用させることができていない。 

(2) 教材観

 かけ算の文章問題における、かけられる数とかける数への理解が深まらず、正しく立式できないという課題に対し、プログラミング言語『Scratch』を使い、『かけ算の文章問題名人をめざして』という教材を開発した。
 文章問題に出てくるアイテムやそれに合わせた単位、かけられる数とかける数をプログラミングして、自分だけの文章問題を作り、その問題を自分で解いたり、友達に解いてもらったりする活動を行う。その中で、かけられる数とかける数を正しく選択して立式できるようになったり、かけ算の文章問題作りに主体的に取り組むことができたりすることが期待される。

(3) 指導観

 かけ算の文章問題を作る活動では、問題を解いてもらう相手を意識し、文章問題に使うアイテムや単位、かけられる数・かける数のプログラミングするように促し、自分本位の活動にならないように指導していきたい。
 また、文章問題を解く活動では、かけられず数とかける数を正しく立式できなかったときに、プログラミングしたアイテムが正しく表示されないことに触れ、かけ算の式の意味についての考えを深められるようにしていくことも大切である。

自主的・主体的な学び

 通常の授業では、教員から与えられた問題について考えることが多く、児童は受動的になっていることがほとんどであるが、この教材では、自ら問題を作り、その問題を解いてもらうという、能動的な姿が見られる。また、何度も問題を作り直し、たくさんの問題を作ることができるので、意欲的に学んでいくことができる。

問題解決的な学び

 かけ算の文章問題を作る活動を行うと、かけられる数やかける数、単位をどのように扱うのか、慎重に考えていく。この経験を生かして文章問題を解く活動を行うと、かけられる数やかける数、単位を注意深く読むようになり、正しく立式していけるようになる。
 また、かけられる数とかける数を正しく立式することができず、アイテムが正しく表示されていない場面では、もう一度文章をよく読み、どこが間違っていたのかを考え直すことができ、修正するポイントを見極める力が身についてくる。

協働的な学び

 自分が作った問題を友達に解いてもらう活動を行うことで、自分本位にならず、相手のことを考えた問題作りを行うことができる。それは、文章問題に使うアイテムを選択する場面、かけられる数、かける数を決める場面、アイテムにあった単位を選択する場面、それぞれに相手のことを考え、丁寧に問題作りを進めていく必要が出てくる。算数の授業の中で、相手に問題を出し、それを解いてもらうという活動を、1時間の中で何度も繰り返すことができるのは、貴重な経験になる。

学習指導計画